探究学習のテーマを決めようとしても、「特に調べたいことがない」「何から考えればいいのかわからない」と止まってしまうことがあります。
そんなときは、無理に大きな社会問題からテーマを探さなくても大丈夫です。普段の生活で「なんでだろう」「これ、もう少しどうにかならないかな」と思っていることも、探究のきっかけになります。
この記事では、何も思いつかないところからテーマの候補を出し、自分で調べたり試したりできる「問い」にするまでの考え方を紹介します。
探究学習のテーマは身近な疑問から決めればいい

探究学習と聞くと、環境問題や少子高齢化、AI、地域活性化など、大きなテーマを選ばなければいけないと思う人もいるかもしれません。
もちろん、本当に興味があるならそこから始めても構いません。ただ、「何か社会の役に立つことを考えないと」と力を入れすぎると、かえってテーマが決まらなくなります。
最初はもっと身近なことで十分です。
たとえば、
- なぜ学校の売店では、いつも同じパンから売り切れるのか
- どうして勉強に集中できる日とできない日があるのか
- 外国人観光客は、日本を旅行するとき何に困っているのか
- 自分の町の商店街に、高校生があまり来ないのはなぜか
こうした疑問も、立派なスタートになります。
「みんなと違うテーマにしないと」と考えるより、まずは自分が少しでも気になることを探してみてください。
テーマが思いつかないときは日常の「気になる」を探してみる

「身近な疑問を探そう」と言われても、それすら思いつかないことはあります。
そんなときは、「自分が好きなもの」だけに絞らず、普段の生活を少し広く見てみると見つけやすくなります。
好きなことから探す
ゲーム、音楽、スポーツ、ファッション、食べ物など、普段からよく見たり、時間を使ったりしているものを書き出してみます。
ただ、「韓国料理」「サッカー」で終わると、まだテーマとしては広すぎます。
たとえば韓国料理が好きなら、
「なぜ日本では韓国料理が若い世代に人気なのか」
と、一段掘り下げてみます。
好きなものの中でも、「なんで人気なんだろう」「どうして自分はこれを選ぶんだろう」と考えてみると、問いを作りやすくなります。
不便だと感じていることから探す
「面倒だな」「使いにくいな」と感じていることも、テーマになります。
学校の食堂が毎日混んでいるなら、
「どうすれば昼休みの食堂の混雑を減らせるのか」
と考えられます。
好きなことが特に思いつかない人は、自分や周りの人が困っていることを探すほうが見つけやすいかもしれません。
「なぜ?」と思ったことから探す
いつもなら気にせず通り過ぎていることも、少し立ち止まってみるとテーマになります。
「なぜコンビニでは入口の近くに新商品が置かれているのか」
「なぜ同じ商品でも店によって値段が違うのか」
気になったら、すぐ検索して答えを見る前に、一度自分なりの理由を考えてみてください。
その予想が、あとで探究を進めるときにも使えます。
周りの人が困っていることから探す
自分では特に困っていなくても、友人や家族、地域の人に話を聞くとテーマが見つかることがあります。
「学校生活で不便なことある?」
「この町で困っていることって何?」
そんな聞き方でも構いません。
最初から一つに決めようとせず、まずは3〜5個くらい「ちょっと気になること」を出してみましょう。
気になることが見つかったら「問い」まで絞り込む

ここでよくあるのが、「食品ロスについて調べる」「地域活性化について調べる」と決めたものの、そのあと何をすればいいのかわからなくなるパターンです。
これはテーマがまだ広すぎます。
たとえば「食品ロス」なら、家庭、スーパー、コンビニ、飲食店、学校給食など、いくらでも話が広がります。
そこで、「何について調べるか」ではなく、「何を知りたいのか」まで考えてみます。
たとえば、
「食品ロス」
↓
「学校の購買では、なぜパンが売れ残るのか」
↓
「商品の並べ方や販売時間を変えたら、売れ残りは減るのか」
ここまでくれば、何を調べるのかもかなり見えやすくなります。
テーマが広すぎるときは対象を小さくする
「地域活性化」「観光」「SNS」のようなテーマは、そのままだと大きすぎます。
そこで、誰のことなのか、どこのことなのかを決めます。
「地域活性化」なら、
「高校生が地元の商店街にあまり行かないのはなぜか」
くらいまで絞れば、同級生に聞いたり、商店街の人に話を聞いたりできます。
自分が動ける範囲まで小さくするのがコツです。
「なぜ」「どうすれば」に変えてみる
単語で止まっているテーマは、
「なぜ○○なのか」
「どうすれば○○できるのか」
と問いの形にしてみます。
自分が誰に聞けるのか、どこまで調べられるのかも一緒に考えてみてください。
人・場所・期間を決めると考えやすい
テーマがぼんやりしているなら、
「誰について調べるのか」
「どこで調べるのか」
「いつの話なのか」
を決めると絞りやすくなります。
たとえば、
「若者はなぜ本を読まないのか」
より、
「自分の高校では、どのくらいの生徒が月に1冊以上本を読んでいるのか」
のほうが、自分で調べられます。
テーマを考えるときは、大きく見せるより、自分で動けるサイズにするほうが進めやすいです。
探究テーマは「自分で確かめられるか」で判断する

テーマ候補ができても、「これで本当にいいのかな」と迷うことはあります。
そんなときは、珍しいテーマかどうかではなく、自分で確かめる方法があるかを見てみてください。
たとえば、
「日本では年間どのくらい食品ロスが出ているのか」
であれば、公的な資料を調べれば答えが見つかります。
もちろん、必要な情報を調べること自体は大切です。ただ、それだけで終わると、自分で考えたり確かめたりする部分があまりありません。
一方で、
「学校の購買でパンの売れ残りを減らすには、何を変えればいいのか」
なら、販売状況を見たり、生徒に聞いたり、売り方を考えたりできます。
| 比較するポイント | 調べて終わりやすいテーマ | 探究につなげやすいテーマ |
|---|---|---|
| 問い | 調べれば答えが見つかる | 自分で確かめる余地がある |
| 情報の集め方 | Webや本が中心 | アンケートや聞き取りもできる |
| 対象 | 広い | 人や場所が絞られている |
| 自分との関わり | あまりない | 身近な経験とつながっている |
| 調べたあと | 内容をまとめる | 試したり改善したりできる |
テーマ自体がよくあるものでも、気にする必要はありません。
「食品ロス」「観光」「SNS」でも、誰を対象にして、何を知りたいのかが違えば、調べる内容も変わります。
難しそうなテーマを選んで資料をまとめるだけになるより、自分で人に聞いたり、試したりできるテーマのほうが、探究らしい動きは作りやすいと思います。
テーマが決まったら仮説を立てて調べてみる

問いが決まったら、すぐ答えを検索する前に、「たぶんこうなんじゃないか」と予想してみます。
これが仮説です。
たとえば、
「学校の購買でパンが売れ残るのはなぜか」
という問いなら、
「人気の商品が見つけにくい場所に置かれているからではないか」
「昼休みの後半になると、購買まで行く人が減るのではないか」
など、いくつか理由を考えられます。
あとは、その予想を確かめる方法を考えます。
実際に売れ方を見てみる。
生徒に聞いてみる。
販売している人に話を聞いてみる。
方法はテーマによって変わります。
ここで、最初の予想を当てる必要はありません。
「思っていた理由と違った」
「話を聞いたら別の原因が出てきた」
ということも普通にあります。
むしろ、そこから「じゃあ本当の理由は何だろう」と考え直すところに、探究のおもしろさがあります。
総合型選抜を考えている人の中には、「目立つ結果を出さないと活動実績にならないのでは」と気になる人もいると思います。
ただ、結果だけでなく、自分が何を考えて、何を調べ、そこからどう動いたのかも整理しておきたいところです。
探究した経験を進学にどう生かすか気になる人は、こちらの記事も参考にしてみてください。

調べるだけでなく、実際に試してみると探究は深くなる

探究学習では、アンケートを取り、資料を作り、最後に発表することも多いと思います。
ただ、テーマによっては、その先までやってみることもできます。
「高校生が商店街に来ない理由」を調べたなら、高校生が来たくなる企画を考えてみる。
「商品の見せ方で売れ方が変わるのか」が気になったなら、実際に並べ方を変えて比べてみる。
やってみると、だいたい思った通りにはいきません。
でも、「なぜうまくいかなかったんだろう」ともう一度考えると、そこで新しい問いが出てきます。
サムライカレープロジェクトでも、海外へ行って市場調査をして終わりではありません。
チームで現地の人に話を聞き、商品や売り方を考え、実際に販売します。思うように売れなければ原因を考え、商品や販売方法を変えて、もう一度試します。
最後には、自分たちが何を考えて、何をやって、結果がどうだったのかを発表します。
実際に販売する以上、売上という数字も出ます。
一生懸命やったからOKではなく、「なぜ売れたのか」「なぜ売れなかったのか」を考えなくてはいけません。
探究学習も、テーマを決めたところで終わりではありません。
最初は「これ、ちょっと気になるな」くらいで十分です。
そこから自分なりの問いを作って、調べてみる。できそうなら、人に聞いたり、実際に試したりしてみる。
立派なテーマを探し続けるより、まずは普段の生活の中にある「なんでだろう」を一つ拾うところから始めてみてください。


