日本の大学からアメリカの大学に1年の留学中、夏休みを使ってサムライカレーに4週間参加した米村君。
その後、日本で就職活動。
最初はうまく行かないことも多かったそうですが、あることに気付いてから面接連戦連勝になったそうです。
その「あること」とは? サムライ君がインタビューしました。
■グローバル企業は、日本を成長市場とはみていない
私は、海外で働きたいという希望を持っていたので、国際的な授業が多い大学に進学し、アメリカにも留学し、最後の仕上げとして、サムライカレーで海外起業体験しました。
この大学4年間の経験を踏まえて、今年の春から、多くの国でものを作ったり売ったりしているグローバルメーカーを中心に就職活動をしました。
しかし、最初は面接で落ちまくりました。
それは、私の質問に対する回答の仕方が稚拙だったことが原因です。
あるとき、このままではヤバイと思い、今まで受けた質問を思い出し、どう回答するべきだったかをしっかり考えることにしました。
まず最初にやるべきことは、相手が何を求めているか。
そこで気づいた事は、面接官の人は「海外で働ける人材か?」ということを試す質問を多くしていたということです。
また、「日本は成熟市場だから、これから大きく伸びるとは思えない。若い人には、我が社の製品を海外で売れるようにしてくれることを望んでいる」
このようなメッセージが、複数の会社の面接官からでてきたことも思い出しました。
そして、アメリカ留学とサムライカレー体験の話をしたときに、サムライカレー体験の方が受けがよかったのです。
その時言われたことは、こんなことです。
「我々は、これからの市場である、新興国を伸ばしていきたいんだよね」
■バイトとサークルと語学留学の話は飽きられている
グループ面接などで他の学生の話を聞いていると、一番多い
「バイトでこんなことをしました」
「サークルでこんなことをしました」
「私の得意なことは○○です」
といった話は面接官はほぼ退屈そうにスルーしていました。
そして、語学留学の話もたくさんで過ぎてて、これらの話と同様にスルーされています。
その点、「カンボジアでサムライカレーってカレー屋をやっていました」というのはインパクト抜群。確実に人事の人が話を聞いてくれたのです。
ちなみに、エントリーシートも、アメリカ留学を中心に書いたものは落ちることもあったけど、サムライカレーで書いたものは全て通っています。
この辺から、方針が見えてきました。
■面接で詳しく聞かれるのは「なにをして」「どんな課題を」「どう解決したか」
次に、具体的な回答を考えるために、面接官がする質問の内容をまとめました。
すると、どの会社でも要約すると次の3つのことを聞かれていたことがわかりました。
「あなたはどんなことをやりましたか?」
「その時、どんな課題にぶつかりましたか?」
「その結果どうしましたか?」
そこで、この質問に対し、明確な答えを用意しました。
「カンボジアのカレー屋で、カンボジア人に寿司を売りました」
「カンボジア人は酢飯が嫌いで、試食会で大不評でした」
「その対策として、徹底的な顧客調査をしました。
1.食べやすさ(寿司の大きさ)
2.好み(どんな寿司が好きか)
これを、手を変え品を変えアンケートを取りながら改善しました。
その結果、普通の寿司の半分のサイズに握ったご飯の上に、テリヤキソースをかけた焼いた豚肉を乗せたものを「サムライ寿司」として売ることになりました。
あくまでも、お客さんが求めるものを作るということで、自分たちの寿司へのこだわりは捨てています。
日本人からしてみたら、全然寿司じゃありません。
でも、これは、試食会でも好評で、翌週にあったワールドカップ予選のカンボジア対シンガポール戦の会場で200個以上売ることができました。
このように、相手の質問に対して、自分が体験したことを明確に伝えられるようになると、面接で落ちることはなくなり、内定も頂けるようになったのです。
■リーダーシップと、コミュニケーション
ちなみに、これに派生して出てくる質問は
「チームでやっていたみたいだけど、君はその中で具体的になにをやったの?」
「カンボジア人のスタッフも一緒にやってたみたいだけど、きちんとコミュニケーションはとれた?」でした。
特に、後者は多く聞かれます。
ある世界中に店舗を持つグローバル企業の方は、こんなことを言っていました。
「TOEICの点数が高い人を、海外の事業所に送ったんですが、全然成果が上がらないのです。英語ができるのと、現地スタッフとコミュニケーションができるのは全然違う事みたいなのです」
確かに、私もTOEICは860点以上あるのですが、カンボジア人スタッフとコミュニケーションをとるには、TOEICとは違った力も必要でした。正しい英語を話すだけでなく、相手が理解してくれる英語を話す力です。
これは、正しい寿司を出すことではなく、お客さんが好きな寿司を出すことに通じるものがある気がします。
■慣れてくると、自分が企業の仕事内容を分析する余裕が生まれる
自分がアピールしたいことが明確になり、受け答えに関して迷いがなくなると、面接官の方の話をしっかり聞いて、自分から質問をすることもできるようになりました。
すると、相手の会社がどの程度海外進出を本格的にやっているかが見えてくるようになっってきます。
面接官の方がしてくる質問が具体的ではない会社は、まだあまり海外展開に本腰を入れていないのかなと思って質問をしてみると、「確かにまだ様子見段階なんだよね」という回答が返ってきます。
こうやって、面接官の方とコミュニケーションがとれるようになると「内定を取る」のが目的ではなく「自分がやりたい仕事ができる会社を探す」という感覚になり、だんだん就活が楽しくなってきました。
■サムライカレーで学んだこと
サムライカレーでやったことを話すと、面接官の方は本当に興味を持って話を聞いてくれます。そして、話が詳細に及ぶほど、おもしろがってくれるのです。
それはサムライカレー体験が、本当に企業が我々若手社員に望んでいる体験だということなのだと思います。
また、最初は面接で上手く話せなかったのを、自分で研究して、相手が何を求めているかを考え、自分が持っている体験を加工し、相手が求めてる形にして出す。
この流れは、自分たちがカンボジアで「サムライ寿司」を作ったのと同じ行程だということに気付きました。
そういう、考え方をまなび、実行する経験を積めたことが、サムライカレーの一番のメリットだったと思います。
サムライカレーを楽しいと思った私にとって、この体験をおもしろがってくれる企業に入るのがベストだと考え、最終的にある業界の大手メーカーに就職をすることに決めました。この会社の売上の半分以上は海外市場です。
入社後、できるだけ早く、その海外市場の売り上げアップに貢献したいと考えています。
■サムライ君からひとこと
サムライカレーは、就活に非常に役に立つでござる。
ただ、別にサムライカレーは就活塾じゃないので、就活にフォーカスする気はござらぬ。しかし、我々が提供しているものは、今、日本の会社に求められているものなのです。
そして、それは就活に役立つと言うよりも、会社に入ってから仕事をするときに役に立つのです。
・これから小さくなっていく日本や先進国の市場だけではなく、アジアなどの途上国の人に自社製品を買ってもらう仕事ができる社員。
・外国人を含むお客さんが何を求めているのか、自分で調べ、考えることができる社員。
・自分で考え、行動し、成果を出すことができる社員。
・日本人のみならず、外国人のスタッフとも仲良く仕事ができる社員。
これは、必ずしも海外に駐在して働く人だけに求められるわけではありません。日本国内で働く場合でも、外国人と一緒にしないですむ仕事はほんの一握りです。(逆に言うと、日本人としか仕事ができない人は、そのほんの一握りしか仕事の選択肢がありません)
サムライカレーに参加してくれた人には、上記のような体験をしてもらうだけではなく、その経験をどのように就活で話せばいいかの解説も行うでござる。そして、それを活かしてどんな社会人になるべきかを、一緒に考えるのじゃ。