- 基本情報
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古田直哉さん
大学2年で参加

私は、大学生活を“何となく”で終えたくないという思いから、サムライカレーへの参加を決めました。
どうせ海外に行くなら、誰もが選ぶ欧米ではなく、あえて周囲が行かないような場所で勝負したい!そんな反骨心のようなものが、自分の中にあったのだと思います。高校時代、コロナ禍で文化祭が中止になり、「みんなで商品を作って、みんなで売る」という体験ができなかったこともあって、そうした経験への憧れがずっと心の中に残っていました。「現地の人を雇って商品を売る」というサムライカレーの本格的な仕組みを知ったとき、これは自分が求めていた挑戦だと確信しました。
参加する前は、カンボジアに対して正直“怖い国”という印象を持っていました。
両親にも反対されていましたし、そもそも「カンボジアってどこにあるの?」というレベルでした。地雷、生水、衛生面など、ネットで見かける断片的な情報から、どこか得体の知れない不気味さを感じていたのです。「とてもじゃないけど安全な国ではなさそうだ」というのが、当時の率直な印象でした。

しかし、実際に訪れてみると、カンボジアは想像以上に安全で、人々は驚くほど温かく、思いやりにあふれていました。
屋台で買い物をするたびに、店員さんがレジの向こうから微笑みながら挨拶をしてくれる。その姿に、文化や言葉が違っても、「敬う気持ち」はどこにでも共通して存在するのだと気づかされました。スパイスの香りが立ちこめる市場、バイクのクラクションが鳴り響く道、笑い声に包まれた夜の遊園地、そこには、ただ「発展途上国」と一括りにできない、リアルな人々の営みと温かさが広がっていました。
このプログラムの中で特に印象に残っているのは、“油断”による失敗と、そこからの試行錯誤です。
金曜日のナイトマーケットでは、きな粉白玉が思いのほか売れたことで気が大きくなり、「土日はもっと売れるはずだ」と、根拠のない期待のもとで100個も仕込みました。ところが予想は外れ、白玉は大量に売れ残り、テーブルの上に山のように積まれたまま。その光景に、胃が締めつけられるほど落ち込みました。

それでも諦めず、「売れないなら自分で動くしかない」と発想を切り替え、商品を手に持って会場内を歩き回る“連雀商人スタイル”に挑戦することに。最初はナイトマーケットを出て帰る人に声をかけていましたが、全く売れず。そこで視点を変え、「まだ何も食べていない入場前のお客さん」をターゲットに、遊園地側の入り口近くに立ち位置を変更。「最初の一品をどれにしようか」と迷っている人たちに的を絞り、声のかけ方も工夫しました。
その結果、売り上げは回復し、「どう工夫するか次第で結果は変えられる」という手応えを強く感じました。この経験を通じて、私は「失敗しても、とにかくまずは動いてみる」という思考へと変わっていきました。
以前の私は、計画通りに進まなかったときのことばかりを考えて、最初の一歩をなかなか踏み出せないタイプでした。でも、実際に挑戦してみて感じたのは、失敗を前提に「すぐ実行→すぐ修正」の姿勢のほうが、ずっと前向きで、何より面白いということ。
「やる前から悩む時間が一番もったいない」この考え方は、帰国後の学業や日常生活にも大きく影響しています。たとえば試験勉強も、「〇時から始めよう」ではなく、「今すぐやろう」と思った瞬間に取りかかるようになり、結果的に勉強の質も量も上がったと感じています。
もしこれを読んでいるあなたが、「自分にできるかな」「ちょっと怖いな」と迷っているのだとしたら、大丈夫。私も同じ気持ちでした。
でも、一歩を踏み出したその先には、想像もしなかった景色、かけがえのない出会い、そして新しい自分との出会いが待っています。
めちゃめちゃ充実していて楽しかったです。本当にありがとうございました!
