日本の普通の大学生に「どんな職種を希望しますか?」って聞くと、意外と多い答えが「事務職」です。
しかし、この事務職、今、ものすごく競争率が高い職種なのはご存じですか?
新卒就活では、総合職という職種にまとめられていることが多い事務職。
転職市場では、求人倍率はどれくらいなのでしょう?
dodaが2024年5月に行った調査によると、事務・アシスタント職の求人倍率は0.44倍。
つまり、事務・アシスタント職になりたい人の1/5以下しか求人がないのです。
倍率2倍以上ってことですね。
全体の求人倍率2.57倍よりもはるかに低く、IT技術者(11倍)や専門職(コンサル・金融)(6.83倍)とは比べものになりません。ここに載っている11業種の中で最難関です。
なぜ、事務職はこんなに求人倍率が低いのでしょうか?
事務職の倍率が高い理由
まず、求人希望者がたくさんいるからです。
「難しいことができなくてもできそう」とか、「重い責任やノルマがなさそう」「お洒落なオフィスで仕事できそう」みたいな、ぼんやりとしたものが志望動機かと思われます。
これに対して、求人数は少なく、それが近年どんどん減っているのが原因です。
そして、この現象は、これから顕著になっていくでしょう。
と、いうのも、この事務職という仕事、どんどん不要になっているのです。
その昔、全社員にパソコンが支給されていない時代には、社員が手書きで書いた書類をパソコンで打ち直す「事務職」がありました。
その昔、お客さんにお茶を出す仕事があった時代には、お客さんにお茶をだす「事務職」がありました。
今消えかかっていますが、窓口でお客さんが手書きで書いた書類を、パソコンに打ち込む「事務職」の仕事があります。
しかし、窓口業務がインターネットからお客さんが直接データを入力するようになったり、店舗でお客さんがiPadに直接打ち込むようになると、事務職の人が打ち込む必要がなくなります。
このように、多くの事務職の仕事が、パソコンとインターネットの普及により、必要無くなっているのです。
「AIが仕事を奪う」などと言われていますが、事務職に関してはそれ以前の「PCとタブレットが仕事を奪う」のレベルです。
事務職の正社員がさらに減っていく理由
企業は既に充分な人数の事務職の社員を抱えてます。
そして、その事務職の社員の仕事が減っているので、少しずつ配置転換をするか退職を促すしかありません。
この状態で、新しい事務職の社員を雇うと思いますか?
仮に雇う必要が出てきたとしても、近い将来なくなる可能性がある仕事に、正社員を雇ってしまうと、仕事がなくなった後も解雇するのが難しいのです。企業としては、どうしても契約社員・派遣社員を使うしかないのです。
そんなわけで、事務職の正社員で就職することは既に非常に難しく、これから年々難度が上がっていきます。
現在でも倍率5倍以上なので、早稲田や慶応の一部の学部と変わらない。そして、これからは、もっと狭き門になっていく可能性が高いのです。
事務職を目指していた人はどうすればいいのか?
なので、皆さんは「事務職」という仕事を目指すのは回避した方がいいです。
何かの専門性、それはITや機械工学といったものだけではなく、営業や人事、企画やマーケティングを持った仕事を目指すべきなのです。
じゃあ、どのような専門性を身につけるべきなのか?自分に向いている専門性を探すにはどうすればいいのか?専門性のある仕事に就くためにはどうすればいいのか?
まずは「事務職」で自分が何をやりたいのか、もうちょっと掘り下げてみてください。
専門性がある人をサポートしたいのか、まちがいなくキッチリとデータをまとめる役割を担いたいのか、お客さんの手助けをしたいのか。
サポートをしたいのでしたら人事とか総務、秘書の仕事、データをまとめるなら経理やマーケティングの仕事、手助けをしたいのであれば営業や接客の仕事があります。
そして、自分のできそうなことが見えてきたら、インターンなり、バイトなり、大学のゼミなりで、実戦を体験し、志望動機を作っていくことになります。
「エアコンが効いている部屋で、怒られずに、楽な仕事がしたい」というホンネはぐっとこらえて、自分が会社に、お客さんに何で貢献できるかを考えて仕事を考える必要があるのです。
残念ながら、これからの時代「自分は○○ができます」といった専門性がない人にとって、大変厳しい時代になるので。