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サムライカレープロジェクトでは、研修プログラムとして、研修生のみなさんにカンボジアで商売をおこなっていただきます。
しかし、いきなり商売をしろ!といっても、動ける人は限られています。そこで、最初の1週間で、我々が課題を出していって、それをクリアしていくことで、カンボジア人に慣れたり、マーケティングの4PやPDCAサイクルなど、商売の基本を実践的に学んでもらいます。
その最初の課題として行われるのがリサーチです。
カンボジア人に何かを聞いたり、食べてもらったりして調査をすることで、カンボジア人とのコミュニケーションの取り方を学びながら「外人怖いアレルギー」をなくしていってもらいます。
例えば、リオオリンピック終了直後の2016年9月生の最初の課題は
「猫ひろしの知名度を調べるでござる」でした。
カンボジアの首都プノンペン、中心部からちょっと離れた「ロシアンマーケットエリア」で、カンボジア人50人以上にアンケートをとって、猫ひろしの知名度を調べます。
カンボジア国籍を取り、マラソンでカンボジア代表としてオリンピックに出場した猫ひろし。日本で「カンボジア人に失礼だ」などという批判もあったので、実際カンボジア人はどう思っているのかを調べてみたわけです。
これを調査するにあたって、大切なことは、聞き方です。
まず「猫ひろし」というのは日本の芸名であり、オリンピックにカンボジア人として出場した名前を調べる必要があります。
そして、カンボジアの人たちは基本いい人が多く、期待に応えようと頑張ってしまうため、知らなくても「知ってる」と答えてしまいがちです。これを避けるために、ちょっとしたクイズ的なものを入れる必要もあります。
さらに、カンボジア人は日本語はもちろん英語も読めないので、サムライカレーカンボジア人スタッフにクメール語に訳してもらいます。
こうやってできたアンケートが、こちら。
これを50枚印刷して意気揚々と出て行った研修生は、1時間後に疲れ果てて帰ってきました。
「このアンケート、メチャクチャ時間がかかります……」
アンケートというものになれていないカンボジア人が多数。
そして、クメール語の読み書きができない人も多数なので、このアンケート用紙を渡しても、彼らにはいったいなにがなんなのか分からないのです。
そのことを、身振り手振りを交えながら説明していくと、一人のアンケートをとるのに10分くらいかかってしまいます。これではどうやっても、50人のアンケートをとることはできません。
「語学ができることと、コミュニケーションがとれることは同じではないという意味がよく分かりました」
言葉が読み書きできないという以前にアンケートというものがよく分からないのですから、一目見て何をしていいのか分かるような体裁にしなくてはいけません。
さらに、言葉が読めなくても答えられるような形式にする必要があります。
そのためにはどうすればいいか?考え結果できたアンケート用紙が、こちら。
基本写真だけで会話をする。そして、書かせるのではなく、選ばせる。
これだと、「この人、知ってる?」だけで話が済みます。
そして、本当に知っているかを確認するために、この人がやっている競技はなんでしょう?という次の質問も用意します。
また、せっかくなので、「オリンピックそのものの知名度はどれくらいなのか?」「アジア大会テコンドーで金メダルを取ったソーン・シウマイさんはどれくらい有名なのか?」もあわせて聞いてみることにしました。
この改善策は大成功で、残された時間で無事に74人のアンケートを取って、 任務達成。
「カンボジアの人たちとのコミュニケーションの仕方がわかった」
「話しかけたら一生懸命答えてくれた。友達もできた」
と、この課題の意図も理解し、今後の商売に役立つスキル、心構えを会得してくれました。
このように、まず海外に慣れることからスタートし、商売をするためのスキルを学んでいくのがサムライカレープロジェクトの第一ステップ。
ひとつひとつ階段を登っていくことによって、海外でも働けるという実績を作れるのです。