就活において、志望動機は合否を左右する重要な要素になり得ます。印象が良い回答をつくるには、自己分析や企業研究、伝え方に工夫が必要です。この記事では専門家の視点から、就活で好評価を得る志望動機の考え方と例文を丁寧に解説します。
就活で印象の良い志望動機が求められる理由

就職活動では、数ある応募者の中から「この人と働きたい」と思ってもらうことが必要です。そのために重要なのが、志望動機です。ただの形式的な答えではなく、自分の価値観や考えが企業とどれほど合っているかを伝えることで、印象が大きく変わります。
面接官が重視する「志望動機」の意味
「志望動機はどうしてうちの会社を選んだのかを聞くもの」。多くの就活生がそう考えますが、面接官の視点はもう少し深いところにあります。面接官が志望動機で知りたいのは、「この人はうちの会社で活躍できるか」「長く働いてくれるか」「会社の価値観と合っているか」です。
たとえば、ある大手食品メーカーでは、志望動機の中に「食を通じて人々の幸せに貢献したい」という価値観を語った学生が高く評価されました。企業の理念と応募者の考えが重なっていたため、入社後の活躍が期待できると判断されたのです。
このように、面接官は志望動機を通じて「企業との接点」「成長意欲」「論理的思考力」なども見ています。逆に、曖昧な動機や他社でも使い回せるような内容は、「本当にうちで働きたいのか?」という疑念を生んでしまいます。
印象を左右する「なぜうちの会社なのか」の説得力
「なぜうちの会社を選んだのですか?」という質問は、多くの面接で必ず聞かれる質問です。この問いには、企業に対する理解の深さと、自分の想いがどれだけ言葉にできるかが問われています。
たとえば、「説明会で社員の方が楽しそうに働いていたから」と答える学生は多いですが、それだけでは説得力に欠けます。一方で、「説明会で出会った○○さんの『人を支えることに価値を感じる』という言葉が、自分が大学時代に福祉活動に取り組んだ経験と重なり、この会社でなら自分の想いを実現できると感じました」と語れた学生は、面接官から「具体的で伝わりやすい」と評価されました。
志望動機には、「あなたの経験」と「企業の特徴」を結びつける説得力が求められます。単なる憧れや条件ではなく、「なぜ他ではなくこの会社なのか」を、あなた自身の言葉で語ることが大切です。
志望動機の正しい作り方と伝え方

印象に残る志望動機は、ただの言葉の組み合わせではありません。「自分の想い」と「企業の特徴」をどう結びつけるかが重要です。
志望動機を作るための3ステップ(自己分析・企業研究・マッチング)
「何を、なぜ伝えたいのか」が明確でなければ、志望動機は空回りします。そのためには、次の3ステップが欠かせません。
ステップ1:自己分析
まずは、自分の価値観や大事にしていること、やりたいことを言語化します。たとえば、「人を支えることにやりがいを感じる」「新しいことに挑戦するのが好き」など、自分の中にある軸を見つけます。
ステップ2:企業研究
次に、その軸と合う企業を調べます。企業理念や事業内容、社員のインタビュー記事などを通じて、その会社がどんな価値観を大事にしているかを把握しましょう。
ステップ3:マッチング
最後に、「自分の軸」と「企業の方向性」が重なる部分を見つけて、それを志望動機として組み立てます。たとえば、「私は人との信頼関係を大切にしており、貴社の“お客様との長期的な関係構築”という理念に強く共感しました」といった具合です。
書き方の基本ルール(履歴書・エントリーシート)
志望動機を書く際には、見やすく、伝わりやすい構成を意識することが大切です。以下の流れに沿って書くと、内容が整理されやすくなります。
- 最初に結論を書く(例:貴社の〇〇に共感し、△△の経験を活かしたいと考えています)
- 次に理由や背景を書く(自分の経験や価値観など)
- 最後に入社後のイメージや意欲を示す
また、文量は履歴書では200〜300字、エントリーシートでは400〜600字程度が目安です。「誰が読んでも意味が通じるか」を常に意識しましょう。
面接で話すときの長さと話し方のコツ
面接で志望動機を話すときは、1分程度が理想的です。長すぎると要点がぼやけ、短すぎると説得力が弱まります。話す内容は、履歴書やエントリーシートに書いたものと基本は同じで構いませんが、「話し言葉」で自然に伝えることを意識してください。
さらに、話し方にも工夫が必要です。
- 冒頭で結論を伝える
- ゆっくりと、相手の目を見て話す
- 抑揚をつけて感情を込める
たとえば、ある学生は「御社の地域密着型サービスに共感しました。私は学生時代に地元商店街の活性化活動をしており、地域と深く関わる仕事がしたいと思っています」と1分でまとめ、面接官から「話がスッと入ってきた」と好評価を受けました。
志望動機は「伝えたいこと」と「伝わる形」の両方がそろって、初めて意味を持ちます。次の面接までに、あなた自身の言葉で、誰かの心を動かす1分を用意してみましょう。
志望動機の例文まとめ【新卒・就活生向け】

志望動機は、自分の想いと企業の魅力を結びつけるものです。しかし、いざ書こうとすると「何から書けばいいのかわからない」という声を多く聞きます。
「当社を選んだ理由」が伝わる例文集
企業が知りたいのは、「なぜこの会社に入りたいのか」という本音です。ただし、「有名だから」「安定しているから」だけでは説得力に欠けます。ここでは、企業の価値観や特徴と自身の経験をうまく結びつけた例文を紹介します。
例文1:人材業界(営業職)
「人の可能性を引き出す仕事がしたいという想いから、貴社に志望いたしました。大学時代、学習支援ボランティアとして中学生の進路指導に携わり、一人ひとりに合った選択を支えるやりがいを実感しました。貴社の“人と企業の最適なマッチング”という理念に共感し、自分の経験を活かせると考えております。」
例文2:メーカー(商品開発)
「子どもの頃から使っていた貴社の製品には、安心と信頼のイメージがあります。大学では生活科学を専攻し、商品開発の基礎を学びました。特に“使う人の立場で考える”という企業姿勢に魅力を感じ、自分の学びを社会に役立てたいと思いました。」
「なぜこの会社か」を明確にした例文(職種・業界別)
同じ業界でも会社によって文化や方向性は異なります。「なぜこの会社なのか」を明確にできれば、他の応募者と差がつきます。以下に業界別の例文を紹介します。
業界 | 職種 | 志望動機(要約) |
---|---|---|
金融 | 総合職 | 地域密着型のサービスに共感し、地元の課題解決に貢献したい |
IT | 開発職 | 教育アプリの制作に惹かれ、社会課題に技術で挑む姿勢に共鳴 |
商社 | 営業職 | グローバル市場での挑戦機会と、柔軟な社風に魅力を感じた |
医療 | 事務職 | 地域医療を支える理念に共感し、患者対応の経験を活かしたい |
メーカー | 商品開発 | ユーザー視点を重視する姿勢に共感し、大学での研究成果を活かして製品に貢献したい |
それぞれ、自分の経験や志向性が企業とどう結びつくかを、しっかり言葉にしましょう。
履歴書にも使える簡潔な志望動機の例
履歴書では、文字数が限られるため、短くても伝わる内容が求められます。以下は200〜250字以内に収めた例です。
例文(200字程度)
「私は信頼を大切にする営業を目指しています。大学時代に学園祭実行委員として協賛企業との交渉を経験し、信頼関係が成果を生むことを学びました。貴社の“お客様第一主義”の姿勢に共感し、誠実な提案で信頼を築く営業として貢献したいと考えております。」
短くても、経験・価値観・企業との接点がそろっていれば、しっかり伝わります。
自分の体験と言葉でつくる志望動機は、誰にも真似できないあなたの武器になります。まずは紹介した例文を参考に、あなた自身の想いを形にしてみましょう。
志望動機で好印象を与えるポイント

どれほど熱意を持っていても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。志望動機では、内容そのものだけでなく、「どう伝えるか」が大きな差を生みます。
抽象的な言葉は避け、具体例を入れる
「成長したい」「貢献したい」などの言葉はよく使われますが、それだけでは印象に残りません。こうした抽象的な言葉には、必ず「なぜそう思ったのか」「どんな経験からそう考えるようになったのか」を添えることが大切です。
たとえば、ある学生は「チームでの達成感を大切にしている」と言いながら、大学のフットサル大会でリーダーを務めた話を添えました。仲間との衝突を乗り越え、優勝を果たしたエピソードが面接官の印象に強く残ったそうです。
具体例を入れると、あなたの考え方や人柄が伝わりやすくなります。表面的な言葉にとどまらず、あなた自身のストーリーを交えて話しましょう。
企業の価値観と自分の経験をリンクさせる
「なぜその企業なのか」を説明するには、企業が大切にしている価値観や考え方をしっかり理解する必要があります。そして、自分の経験や思いとどう重なるかを伝えることで、説得力が生まれます。
たとえば、ある医療系企業の面接で、「貴社のすべての人に医療を届けるという理念に共感しました」と語った学生がいました。彼は、祖父の介護をきっかけに、医療の地域格差に問題意識を持つようになった経験を話し、企業の方向性と自分の思いを自然につなげていました。
企業の価値観と自分のエピソードが合わさると、「この人はうちに合っている」と思わせる力が生まれます。
自分のビジョンと会社の方向性の一致を示す
企業は「この人と長く一緒に働けるか」「どんな成長をしていくか」も見ています。だからこそ、入社後にどんな仕事をして、どう成長したいのかを具体的に伝えることが重要です。
たとえば、「将来は商品企画を通して、誰かの毎日を少し楽しくする商品を生み出したい」というビジョンがあるとします。もし応募先が“生活の中に彩りを与える商品開発”を目指している会社であれば、その方向性と自分のビジョンがぴったり重なります。
面接官は、「この人なら会社の目指す方向と一緒に歩んでくれそうだ」と感じるはずです。
自分の想いや経験がどのように企業と結びつくのかを、言葉にして伝えること。それが、好印象な志望動機をつくる第一歩です。ぜひ一度、自分の経験を振り返り、具体的なストーリーに落とし込んでみてください。
NG例に学ぶ、よくある失敗と改善ポイント

志望動機は、就活生の熱意や人柄を伝えるチャンスですが、伝え方を間違えると逆効果になってしまうこともあります。。
他社でも通用するような内容
「御社は業界トップで安定しており、福利厚生も充実していると聞き志望しました」。このような内容は、どの会社にも通用する汎用的な表現で、面接官の心には残りません。
たとえば、ある学生が大手IT企業に提出した志望動機には、「グローバルな環境で成長したい」とだけ書かれていました。しかし、その企業の説明会にすら参加しておらず、企業研究の痕跡が見られなかったため、評価は低くなりました。
■改善ポイント
- 「御社のどこに惹かれたのか」を明確にする
- 他社と比較したうえで「なぜこの会社なのか」を説明する
- 説明会・社員との交流など具体的な接点を盛り込む
志望動機が長すぎる/短すぎる
「たくさん伝えたいことがある」と思うあまり、志望動機が600字以上になってしまう学生もいれば、「何を書けばいいかわからない」と50字ほどで終わってしまうケースもあります。どちらも読み手にとっては不親切です。
ある学生は、履歴書の志望動機欄を埋めるために、自分の経験を長々と書きすぎてしまい、結局「で、何が言いたいの?」という印象を与えてしまいました。
■改善ポイント
- 履歴書では200〜300字、エントリーシートでは400〜600字を目安に
- 「結論→理由→貢献したいこと」の3点を意識して、簡潔にまとめる
- 面接で話す場合は1分以内に収める練習をしておく
内容に一貫性がない・ぼんやりしている
「人と関わることが好きだから営業職を志望しています。でも将来は研究職にも興味があります」というように、志望動機の中に矛盾があると、信頼を損ねてしまいます。方向性がぶれていると、「本当にうちで働きたいのかな」と疑われます。
ある製薬会社の面接で「営業職を志望している」と言っていた学生が、「研究室での実験が好き」と何度も語ったため、「では研究職の方が向いているのでは?」と指摘されていました。
■改善ポイント
- 志望する職種や企業に合った経験・考えを軸にする
- エピソードや価値観と、目指す方向性にずれがないか確認する
- 文章の最後に「この会社で働きたい」という意志をもう一度明確にする
就活では、自分をよく見せようとするあまり、つい言葉が空回りしがちです。でも、少し立ち止まって「この内容は伝わっているか?」と振り返るだけで、説得力はぐんと高まります。自分の言葉で、自分らしい志望動機をつくってみましょう。
よくあるNG例 | 問題点 | 改善ポイント |
---|---|---|
「御社は安定していて福利厚生が良いから」 | 他社でも通用する汎用的な内容 | 企業独自の理念・事業に共感した具体的な理由を加える |
志望動機が600字以上になり、話がまとまっていない | 要点がぼやけて伝わりにくい | 結論→理由→入社後の展望という構成で、400〜600字に収める |
たった50字ほどで終わってしまう志望動機 | 情報量不足で熱意や具体性が伝わらない | 自分の経験や企業理解を盛り込んで、200〜300字程度に膨らませる |
「営業を希望しますが、研究職にも興味があります」などの矛盾した表現 | 一貫性がなく、軸がぶれて見える | 志望する職種に一貫した動機と経験を関連付けて明確化する |
「挑戦したい」「成長したい」といった抽象的な言葉だけで構成された志望動機 | 内容が薄く印象に残らない | 具体的な行動・体験を交え、なぜそう考えるかを説明することで説得力を持たせる |
よくある質問

- 面接で志望動機を聞かれたらどう答えればいいですか?
-
面接で志望動機を聞かれた際は、「結論→理由→入社後のビジョン」の順で答えるのが効果的です。たとえば、「貴社の○○に共感し、△△の経験を活かしたいです。そのために××の分野で貢献したいと考えています」といった形で、簡潔に、かつあなたらしい言葉で伝えましょう。
- 面接がボロボロでも受かった理由は?
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面接でうまく話せなかったと感じても、受かるケースは少なくありません。大事なのは、受け答えの流暢さよりも「誠実さ」や「志望度の高さ」、そして「成長する可能性」が伝わったかどうかです。緊張していても目を見て話す姿勢や、素直な人柄が評価された可能性があります。
- 志望動機で「魅力を感じた」の言い換えは?
-
「魅力を感じた」は便利ですが抽象的です。言い換えるなら「価値観に共感した」「理念に強くひかれた」「自分の経験と重なった」「挑戦できる環境だと感じた」など、より具体的に伝える表現が効果的です。文脈に応じて、企業との接点が伝わる言葉を選びましょう。
- 面接で「最後に一言ありますか?」と言われたら落ちる?
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「最後に一言ありますか?」は、落とすための質問ではありません。むしろ、最後のアピールチャンスです。そこで「本日はありがとうございました」だけで終わるよりも、「御社で働きたい気持ちがさらに強まりました」と伝えると好印象につながります。準備しておくのがおすすめです。
- 面接で笑ってもいいですか?
-
笑顔は印象を良くする要素でもあります。緊張していても、相手の目を見て自然に笑うことができれば、コミュニケーション力の高さや人柄の良さが伝わります。ただし、場に合わない笑い方や過剰なリアクションは逆効果なので、落ち着いた笑顔を意識しましょう。
志望動機は就活の中でも特に差が出やすいポイントです。自分の経験や想いを言葉にして、企業にしっかり伝える準備をしておきましょう。この記事があなたの納得のいく就活に役立つことを願っています。
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