現代の労働市場では、企業はただの労働力ではなく、自立して考え、行動できる「松阪牛人材」を求めています。この記事では、どのようにして自分自身を価値ある人材に変え、ブラック企業の罠を避けることができるのか、そして偏差値35の学生がいかにしてトップ企業への道を切り開いたのかを探ります。
企業が求める「松阪牛人材」!?
とある中堅大学でキャリア論について講義をしたときに、学生からこんな意見をいただきました。
「企業が求めてるのって、死ぬまで働く社畜でしょ」
ちがいます。
企業が本当に求めているのは、上司に言われたことを何でも「Yes」といって過労死するまでひたすらやり続ける「ブラック企業型人材」ではありません。
なぜなら、こういう人材って、使うのが面倒だからです。
ブラック企業型を使うためには、
1.その人にやらせる仕事を定義する
2.その人が理解できるレベルまで説明をする
3.ちゃんと仕事をやっているかを随時確認する
4.仕事ができてなかったらケツを叩くか激詰めして、無理矢理やらせる
5.できあがったら、ちゃんとできているか確認する
6.次の仕事について、また1に戻る
といったように、準備から、動機付けから、進捗管理、品質管理まで、全部上司がやらなきゃいけないからです。
で、これを効率よくやるためには、一カ所に集めた方がいいから会社に出勤させるし、モチベートするよりも恐怖で支配した方が楽だから物理か精神で攻撃するわけです。
つまり、ほっといても仕事をしない人材は、わざわざこういう手間をかけて、何とか使えるようにするのがブラック企業なのです。
それは、脂身が少なかったり、鮮度がおちている肉を、ミキサーにかけて、パン粉を混ぜて、丸めて、こんがり焼いて、デミグラスソースをかけるという、手間暇かけて美味しくいただくようなもの。
このように、ミキサーしないと、食材として成立しない人材を「ひき肉人材」と呼びます。
じゃあ、企業が欲しいのはどういう人材かというと、手間暇かけなくても勝手に仕事をしてくれる人材。
肉で言えば、切って焼いて醤油をかけるだけで美味しい、「松阪牛人材」です。
「松阪牛人材」は、目標を伝えるだけで、そのためにどうすればいいのかを自分で考えて、どんな仕事をすればいいか考えてくれます。
そして、それを勝手に実行して、うまくいったかいかなかったか、自分で判断して、報告する。うまくいってなかったら、このようにやり方を変えましょう、と提案もつけて。
こういう人は、管理コストがかからないので、経営者からしてみたら最高なんです。
そして、こういう人は、監視をしなくてもいいので、会社に来させる必要すらないのです。
会社に来なくてもいい会社員
「そんな会社あるわけないじゃん」
って思うかもしれませんが、あるんです。
私が在籍していたシリコンバレー系IT企業は、20年前からWork@Homeという制度があり、在宅勤務が可能でした。
在宅勤務でも(少なくとも当時は)大した監視もなく、ホントに働いているのかサボっているのか、誰にもわからないレベルです。
それでも会社が回るのは、
「ほっといても仕事をする人しか雇ってないから」です。
つまり、ホワイト企業が、ホワイトな労働環境であるのは、ほっといても仕事をする「松阪牛人材」しか採用しないからなのです。
そして、ブラック企業が、ブラックな労働環境であるのは、ホワイト企業が必要としない、ほっといたらサボる人材を安く買いたたき、そこそこのコストをかけて管理・監視し、それなりに成果を出させるという企業戦略だからなのです。
ブラック企業に入りたくない人はなにをするべきか?
1.誰にも強制されず、自分で考え、仕事をやって成果を出したという体験を作る
2.その体験を根拠に「私は、いわれなくても仕事ができる人材(=松阪牛人材)です」ということをアピールする
肉でいえば、ミンチにしなくても、美味しいよということをアピールすればいいんです。
でも、そんな人材になれる奴はごく限られた一流大学のやつだけでしょ?
こんな質問もでてきます。
確かに、一流大学行っている学生は、他人に強制されず一生懸命勉強をした実績がある人が多いです。だから、企業も優先的に採ろうとします。(学歴フィルタだ!)
しかし、一流大学以外にも、松阪牛人材はいるってことはわかっています。
だから、一流大学のメンバーだけで全ての枠が埋まってしまう超人気企業以外であれば、なんとかなるんです。
でも、繰り返しますが、受ければいいってもんじゃないんです。
「私は、いわれなくても仕事ができる人材(=松阪牛人材)です」ということを、実績込みでアピールする必要があるんです。
学生時代には、いろんな所で働く体験をして、いわれなくても自分で仕事を作ってこなすという体験をしてください!