- 基本情報
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柴道瑠維さん
大学3年生

私は、ゼミのプロジェクトの一環としてサムライカレーに参加しようと思いました。
これまで国内で商品開発や販売のプロジェクトに取り組んできたため、その集大成として、海外の現場で自分の力を試したいと考えたからです。
参加する前は、カンボジアに対して「発展途上国で貧困が深刻」「治安が悪くて危険」「恵まれない家庭が多い」といったネガティブなイメージを持っていました。スリや盗難に遭うのではないかという不安もありました。
しかし、実際に現地を訪れてみると、その印象は大きく変わりました。カンボジアの人々はとても穏やかで親しみやすく、日本に対しても強い関心と好意を持っていました。国全体を見ると貧富の差は確かに存在しますが、人々の表情や生活からは、想像以上に高い幸福感が感じられ、「本当の豊かさとは何か」を考えさせられる体験になりました。
このプログラムで特に印象に残っている出来事が2つあります。
1つ目は、商品名のインパクトが販売に大きな影響を与えることです。私たちは「おにぎらずキンパ」という商品を販売していましたが、カンボジアの方にとってはその名前から内容が伝わりづらく、なかなか手に取ってもらえませんでした。そこで、カンボジアの人々が日本に親しみを持ち、日本人と話したいと思っている点に着目し、「ジャパニーズおにぎり!Do you know おにぎり?」と声をかけるスタイルに変更しました。その結果、多くの方が興味を持って足を止めてくれるようになり、会話を通して商品を紹介しながら販売を進めることができました。最終的には100個以上を売り上げ、好評の声も多数いただくことができました。

2つ目は、カンボジアの高温多湿な気候への対応です。現地では気温が高く、食材が傷みやすいため、商品管理が大きな課題となりました。そこで私たちは販売班と宿舎での在庫管理班に分かれ、販売状況をリアルタイムで共有しながら、必要な食材を迅速に準備・補充できる体制を整えました。この連携により、食材を無駄にすることなく安定した販売を実現し、最終的には「おにぎらずキンパ」をすべて完売することができました。
私は主にマーケティングや販売を担当し、他のメンバーは製品の製造や看板作成、会計管理などを担当しました。例えば、初日の販売ブースが殺風景で目立たないと気づいた際には、看板のデザインを工夫してインパクトを出すことの重要性に気づき、改善を提案しました。また、商品を購入してくれたお客様に写真を撮ってもらい、その様子を他の人に見せることで、集客効果を高める工夫も行いました。
こうした柔軟で戦略的な対応をチーム全体で共有し、迅速に動いた結果、3日間で約400,000リエル(カンボジアの平均的な5ヶ月半分の給料相当)という売上を達成することができました。
この経験から、どれだけ優れたアイデアがあっても、チームの力をうまく引き出し、状況に応じて役割を調整しながら進めていくことが、成功への鍵であることを強く学びました。
商品案から試作販売までの期間が非常に短いと感じました。そのため、限られた時間の中で最大限の力を発揮する難しさと楽しさを同時に学べた2週間でした。この経験を通じて、迅速な意思決定や効率的な作業がいかに重要であるかを実感しました。


