東岡良河さん
国立大学 3年の春休みに、カンボジア・サムライカレープロジェクトに参加

3行にまとめると
・カンボジアでマーケティングリサーチと、人材採用・管理を担当
・カンボジア人バイトの時間、モチベーション管理が上手くいかなかった
・彼らと英語でコミュニケーションとり、双方が納得するルールを作ることで解決した
あなたは、どんな海外体験をしましたか?
カンボジアのインターンシッププログラム・サムライカレープロジェクトに参加して、カンボジア人にチーズドックを500個販売しました。
英語が得意で生かしたいという思いから、海外で働きたいと考え、今、発展途上の国、カンボジアを選びました。
その中で、どんな役割を担いましたか?
10人チームで販売を行ったのですが、その中で、マーケティングリサーチと、人材管理を担当しました。
英語によるコミュニケーションに自信があったので、現地の人と多く話をする必要がある、この2つの職務を自ら立候補して担当しました。
具体的に、どんな体験をしましたか?
サムライカレーで言い渡された課題が
「5日後から始まる絆フェスティバルに出店します。 3日間の販売期間で1000ドル売り上げるでござる」です。
1000ドルとは、11万円くらいです。カンボジア人の平均月給が2.2万円くらいなので、月給の5倍くらいに当たる金額なのです。
絆フェスティバルとは、王立プノンペン大学内で行われる、カンボジア人の若者が3万人くらいあつまる、大きなお祭りですから、お客さんはたくさんいます。
しかし、現地の物価を考えると、なかなか難しい目標だと感じました。
そこで、売上目標を達成するためにはじめに行ったのが、現地の調査です。

売るものは何でも良かったのですが、お祭り・準備期間が短いということもあり、飲食店をやることにしました。
そこで、カンボジアの飲食店が提供する人気商品、利用客、利用金額の平均、場所を50店舗調べました。
これだけ調べると、カンボジアの飲食店の実態がわかりました。
特に顕著なカンボジア飲食店顧客の特徴は
1.流行りものや珍しいもの(貴重な体験)にお金を払う
2.気軽に購入できる軽食の単価は1ドル~2ドル
3.若い人の方が購買意欲がある
この3つ特徴を踏まえて、当時日本で流行っていたチーズドックを販売しようと考えました。
■その中で、何を成し遂げましたか?
まず、チーズドックを販売するのでチーズが必要なのですが、チーズの原価が高く、1本あたりの原価が1ドルになってしまいました。
原価の2倍以上で売らなくてはならないというルールがあったため、売値は2ドルに設定しました。2の想定単価の上限です。
カンボジア人にとってチーズが伸びている様子をFacebookやインスタグラムに投稿することは過去にない経験であり、1の条件を満たすと思い、この価格で販売をはじました。
が、全く売れませんでした。本当に、全くです。
あまりに売れないため無料の試食会を開催し、私が英語でなぜ売れないかの要因を聞きました。

すると、こんな意見が出てきました。
「1本2ドルだと高いよね」
「英語を話せない人もいるよ。看板の文字が読めないんじゃないかな」
「日本人が販売している様子が、得体が知れないから怖い」
そこで、チーズドックは原価の安いウィンナーを添えて、2本で2.5ドルと分量と価格を改定。

そして、王立プノンペン大学の学生に協力を依頼して、1日10ドルでアルバイトとして雇い、クメール語で営業をしてもらいました。
その結果、改良を加えた初日になんと100食(250ドル)、翌日には180食(450ドル)、最終日には220食(550ドル)、合計1250ドル売り上げることができました。
課題の1000ドル達成も嬉しかったのですが、何よりも、「海外だからといって、日本人が英語で営業するだけでは通用せず、外国人と協働すること」が大事だということに気づかされました。
今回のプログラムの、一番大きな失敗はなんですか?
雇った学生を上手くマネジメントできずに、彼らの力を充分に引き出せなかったことです
カンボジア人のアルバイトを1日10ドルで雇う際、9時~17時、12時~13時を1時間休憩と条件で約束しました。
しかし、そもそも9時に来ないし、休憩時間も2時間以上帰ってきません。 そして、17時ではなく、16時には帰りたいと言ってきました。
その、帰ろうとするアルバイトに対して日本人と同じ感覚で叱ったところ、翌日は来てくれませんでした。
仕方なく、午前中は日本人だけで販売するもなかなか売り上げが伸びません。
そこで、再度、王立プノンペン大学でスカウトをし、2人の学生を雇いました。
今度は、彼らに不満を抱かせないために、時間などの注意もせず、彼らに全てを任せて販売させてみました。しかし、彼らの動きは鈍く、なかなかお客さんに話しかけません。当然、売上も伸びませんでした。
チームメンバーで原因を考えたところ
「お金だけを目当てのカンボジア人は真面目に働かないのではないか?」
「ビジョンを共有しないと、やる気は出ないよね」
「目標達成したとき、彼らに何かメリットがないといけないんじゃないの?」
といった意見がでてきました。
そこでアルバイトを採用する際に、1日10ドルと金額を提示するよりも「日本人とアルバイトしませんか」と募集をかけました。
そして、採用の際には、彼ら個人個人と話し合い、日本人もカンボジア人も納得できる折衷案を一緒に考えて、双方納得がした上で採用をしました。
具体的には
・休憩時間はカンボジア人にとって大切で、1時間は少ない。だから休憩時間を2時間にする
・その代わり、終業を1時間遅らせて、18時終了にする
・日本人にとって朝皆が揃って、挨拶を始めることは大切なので9時にはきちんと来てもらう
・来れなかったときは来れない理由を皆の前で話し、納得をしてもらう
といったところです。
就業時間以外にも、自分たちがなんでこの商売をしているのか、どんなことを達成したいのか、彼らに何を期待しているのか、目標を達成したら一緒にこんなことをしよう、といったことをしっかり話すことで、非常にいい関係をつくることができました。
彼らは、翌日も改善した条件を元に役割をしっかり果たしてくれて、今でも最高の友達となりました。
そして、彼らの活躍のおかげで、売り上げ目標も達成することができたのです。

外国人とのコミュニケーションをとれましたか?
プノンペン大学の大学生は、それなりに英語力が高かったので、英語を話せる外国人とは簡単でした。
そして、カンボジア語しか話せないカンボジア人とは日本語を話せるカンボジア人の子に通訳してもらったり、絵や文字を使ってコミュニケーションをとるなど、創意工夫をしました。
ここでわかったことは、無理に現地語を話す必要はないということです。
しかし、現地のカンボジア人とコミュニケーションをとることは絶対必須だったので、その場にあるものをフル活用して、コミュニケーションをとる方法を学びました。
これは、今後、自分が海外で仕事をするに当たって、現地の人との協業や研究に活きると考えています。
本プログラムを通じで、どんな仕事が得意だと感じましたか?
現地の人たちとコミュニケーションをとり、彼らの好みを聞いたり、一緒に働いたりすることが得意だと感じました。
英語が話せない人もいる中で、どうにかコミュニケーションをとること。それは、対面でも、電話でも、Skypeでも、できたのは大きな自信になりました。
特に、英語が通じる人には、深く話をすることができ、外国人が抱える不満や希望などを聞き取ることができました。これが、労働条件の改善に活かすことができたという点で、チームに大きな貢献ができたと思います。
そこで、将来は、外国人と協働するような仕事をしたいと思っています。
例えば、メーカーの海外営業担当。
私は理系なので、エンジニアリングの知識もあるため、外国人エンジニアとのコミュニケーションという点で、力になれると感じています。
また、商社などでの海外プロジェクトのマネジメントにも興味があります。
例えば、ゼネコンとの共同プロジェクトなどで、技術知識のある商社マンのとして、通訳を介さず現地エンジニアに詳細を直接伝えることができ、さらに現地の従業員の要望や悩みも聞けるため、プロジェクトを円滑に進めることのお役に立てると思うのです。
この経験をどう活かすか知りたい人は、こちら。