マーケティングに特化した海外インターンで、市場のニーズを掴むまで。〜 中山和樹さん

大学生の中山和樹君

〜MVP(Minimum Viable Product)の投入、その実践理論から見えた市場のニーズ〜

中山さんは、実際の市場で何を売るのか?まずは試作品としてMVP(最小限の製品)を作り市場に投入しました。顧客に実際に使用・試食して貰うことで意見のフィードバックを基に、製品の改良に役立てていくアプローチを取ること。無駄なコストをなくし、ニーズを正確に把握することで市場(マーケット)の成長・拡大が見込めました。

◆市場のニーズを掴むまでの試行錯誤

Qサムライカレーで上手くいったことはどんなことでござるか?
一つ目は、一日目の販売の際に肉寿司を購入して食べていただいた顧客にアンケートをした結果、味や大きさ、コストについてフィードバックにより正直な感想と意見を得ることができたことです。

フィードバックの中で多かったのが1$払うにもかかわらずお肉に対するごはんの量が少ないという意見でした。その意見から、カンボジア人はお肉よりもごはんの方を多く食べるという習慣があることがわかり、寿司は現地の人でも好きだろうと甘い日本人の概念は捨てて現地の食文化に合わせることを心がけ、二日目ではお弁当形式に変化させ、ご飯を下に敷き詰めてその上にお肉を乗せて肉丼にすることで売り上げの向上に成功しました。

その結果一日目では25$だった売り上げが、二日目だけで76$売り上げることができました。また、カンボジアでは腐るほどのコメが生産されていることもあり市場では大変安く手に入れることができたので、お米の量を増やしてコストパフォーマンスもよく販売できました。アンケートを取ることがなければ現地の食文化の発見から売り上げをアップさせることはなかったと考えるので上手くいったことだと思います。

お米大好きカンボジア人。肉寿司から肉丼へカレーなる変身!

二つ目は販売する方法を変えたことです。一日目ではJET’S CONTAINERマーケットの中でしか販売していませんでした。しかしマーケットの中だけではお酒を飲んでいる顧客が多く、最低でも一時間ほどしなければその場から立ち去ることはないと分かったため、そういった長居する顧客に繰り返しアプローチをかけたとしても購入して貰えず、売り上げが伸びないと気付きました。

そこで新しい顧客にアプローチすることを狙いに、このマーケットだけではなく、二日目ではマーケットの外に出てTukTukの運転手や外の屋台でお酒を飲んでいる人やご飯を食べている人にアプローチし購入して貰うことができたからです。

三つ目は役割分担やタイムスケジュールがチーム内で上手く行われていたことです。買い出しチームや調理チームと分けるだけではなく、販売開始の時間を自分たちで設定してそこから逆算し何時までに終わっておくべきことは何かをチームで把握し間に合わない時には買い出しチーム、調理チーム関係なく補えたことで上手く行動できました。加えて、私たちのチームでは買い出し組は調理係よりも朝早く起きてマーケットに新鮮な食材を買いに行くことを行っていたので調理係が作っている間に買い出し組は昼寝をするなど健康第一に行動しました。

一人一人が自分の役割を果たすこと。  チームワークがマーケティング戦略の要!

◆現地の人の気持ちになってニーズ(需要)を分析する。

Q自分が工夫した、がんばったことはどんなことでござるか?
一つ目は、私たちが作った商品が何であるか、コストはいくらかなど現地のクメール語を用いて説明して喋りかけることやクメール語表記の看板を販売時に持ち歩くことにより、現地の人々に親近感を持ってもらうことを心がけ、外国人が何か得体のしれないものを売っている、といった恐怖心をできるだけ取り除いて、現地の人々の気持ちになって販売する大切さを学ぶことができました。

二つ目は、Grabという配車アプリを使用してTukTukやタクシーを呼ぶのではなく自ら捕まえて行きたいところを指示できるように覚えたクメール語を駆使し買い出し時に時間短縮を行ったことです。その背景としてアプリでTukTukやタクシーを呼んでもすぐに迎えに来てくれるとは限らず現地の運転手が迷うことも多々あることを経験した背景があるからです。このように効率よく行動することにより、たとえ、食材が足らなくなった時にでも限られた時間で買い出しに行きすぐに拠点に戻ってくることが可能となりました。

Qサムライカレーで自分自身が成長したと思う事はどんなことでござるか?
成長できたと感じた部分は恥ずかしさを無くし、自ら働きかけることだと思います。
まず、JET’S CONTAINERマーケットの中でも販売拠点が端という事もあり周辺は顧客の少ない場所だったので自ら売り込みにいかなければ売り上げを上げることは不可能だと感じました。

そこで実際に顧客に商品を持っていき実物を見てもらい積極的に覚えたてのクメール語で商品や値段を説明したことから恥ずかしさを無くして自ら働きかける力を磨くことができたと感じました。この経験から日本でも恥ずかしさを無くして失敗覚悟で行動したいと思うようになりました。

さらにルールにとらわれない臨機応変な行動をすることができるようになったことだと思います。上記でも少し述べましたがJET’S CONTAINERマーケットでの販売というルールがありながらも、マーケットの中の顧客だけでは販売することが難しくなった際に売る場所にとらわれることなくターゲットを変えるため、マーケットの外に出て周辺のTukTukの運転手や外の屋台で食事をしている人々にアプローチし販売することができたためです。このように困難にぶつかった際に、柔軟に対応することは今後社会人になっても必要なスキルだと思うので、身につけておきたい感覚だと感じました。

Qプノンペンの生活はどうでござったか?
二週間では物足りないくらいでもっと住みたいと感じました。思いの外高いビルも多く、さらにイオンの敷地の中にプールもあり数年後行ってみたいと感じました。食事面では後半になるとお金が無くなってくるので、屋台飯で食べていましたが、普通においしかったですし一食1$とありがたかったです。

生活環境も現地スタッフにより整えられていたため生活に困ることはなく日本にいる時よりも健康的に過ごせた感じがしました。雨季だったのでスコールによって排水が追い付かず数分の間に道路が雨であふれる光景は日本人からしたら驚きの光景でした。

また、規定よりも多くの人数が乗っていた際に坂道でTukTukが進まなくなりみんなで押したのは少し面白い経験でした。こういった中でも現地の人々は笑顔で接してくれることが多く、カンボジアの人々のおおらかな国民性を感じることができました。

◆卒業後は海外でマーケティングの仕事に従事したい。

そして、他大学の学生との関わりは今まではほとんど無かったのでサムライカレーを通じて関わることができて楽しい時間を過ごすことができました。自分たちで計画し自らアクションを起こすけれども、失敗し修正し、またチャレンジするといった機会は今までになかったので充実した二週間を過ごせたと感じました。

Q今後どんなことに取り組みたいとおもうでござるか?
今回のサムライカレーを通じて特に販売の際に現地の人々は肉の量よりもご飯の量を増やしてほしいというように、私たち日本人のニーズと現地の人々のニーズは全く違うと理解しました。自分の固定概念は排除し現地の人々のニーズを調査してニーズに合ったものを届けることに難しさを感じたことはもちろんですが、やりがいや面白さも覚えたので将来は海外でマーケティングの仕事をして、現地の人々に合った商品を届けたいと考えています。

◆サムライ君から一言
海外において恥ずかしがっていては何も売れないこと、固定観念を排除して挑むこと、まさに名を捨て実を取る戦略が必要なことも大いに学んだのでござるよ。

このインターンでの経験から、失敗を恐れない勇気を掴んだ中山くんは、今後の海外マーケティングに携わる人材として、更なる飛躍を遂げていってほしいでござるよ!